お知らせする前に終わってしまったのだけれど、ULTRA005というアートフェアに出展させていただきました。
エマージング・ディレクターズ・アートフェア 「ウルトラ005」
EMERGING DIRECTORS’ ART FAIR ULTRA005
オクトーバー・サイド
Oct. side 2012/10/27 (Sat.) – 30 (Tue.)
スパイラルガーデン(スパイラル1F)
Spiral Garden (Spiral 1F)
世界でも類を見ないディレクターを出展単位とするアートフェア。
多くの人が自由に行き来できるスパイラルガーデン(スパイラル1F)で、
素晴らしいアートを世に出していこうという若い才能たちが、
その新鮮な感性を競い合います(officialより)
—–
私は石坂徹朗さんというディレクターさんのブースからの出展でした。
ギャラリーではなくてディレクター個人のセレクトでアーティストがたくさん集まってきていて、
憧れの絵描きさんの作品もどっさりで、私普通にお客さんとして楽しかったー!!
私の壁はこんなかんじ。
ULTRA005のテーマが「生命力」ということだったのですが、
生命力ってあんまり考えたことなくて、うーん結局は生命力って死を考えることなのかもしれないな、と思って。
作品を描き始めたのが8月だったのもあって新作は盆踊りをモチーフにしました。
生の世界の盆踊りと、死の世界の盆踊り。
死者の踊りと、それをまねた生者のおどり。
双方仮面をかぶっていて、区別がつかないけれど、死者は循環も停滞もしない青い世界にいるイメージ。
両方に共通しているのは仮面と、時計と、ドアなのだけど
時計:現世での時間がどんどん少なくなって行くのを示すもの。
公共の時計には「ultima forsan(ことによると、最後)」現代では「tempus fugit(光陰矢の如し)」
と銘打たれることが多いそうです。死神が時をうつものとか。
ドア:このよとあのよを行き来するところ
仮面については長くなりそうなのであとでかこうかな
—–
盆おどりの8人(裏)
「盆おどりの8人(裏)」
裏は死者の国の盆おどりです。
・裏返しの時計
・鏡と鏡文字
・鳥をみんな一羽ずつ連れている(霊魂は鳥の姿になる、といろんなとこで信じられてきたそうな)
・右前の着物姿
・青い世界にいるけれど、1カ所だけ色がついててそこから生の世界と交わってる
これに加えて、ウルトラの行われた10月の季語のもようの服をきてます。
猪鹿蝶、鳥、樅、いちょう、柿、みかん、りんご、桃、カラスウリ、菊、もみじ。
おもしろいなと思ったのは、盆踊りとは別にウルトラが10月だから、というだけの理由で季語を10月に設定したのですが
渡り鳥とか小鳥っていう「超えるもの」のイメージがちょうど10月にきてたこと
あと樅の木もおもしろくって、フランス語で「もみのにおいがする」っていうと
死期がちかい(昔は棺桶を樅の木でつくってたんだって)って意味になる。
けど他の月もそれぞれたくさんあるのかもしれないな
で、この死者の盆踊りをまねておどってるのが下のやつです。
「盆おどりの8人」
裏をまねて踊ってるけど死に対する恐怖があって、つまり生命力の反動、っていう生者の盆踊り。
死の舞踏みたいなイメージ。
・仮面でおどる人たち:生者か死者か区別つかない
・それに加えて、自分でなく前の人の顔をかくしてるお面もかきました。
自分でかぶるんじゃなくて、対人関係の中でうまれる仮面みたいなかんじ。「かくす」ためのお面は西洋的かな
・時計:鏡文字でなく、ふつうの、時計まわりの。ヴァニタス!
・カラー(めぐりめぐる、繰り返す)+モノクロ(たまに止まる一瞬、次の層へのステップ)
・スイス・ウルネシュのクロイゼみたいな、帽子がミニチュアの家になってるやつ。
・「あの人たち」の集会:月夜に草原で、音楽や歌、乗馬をして大騒ぎしてかけずりまわり、会った人をさらう。
・灯火行事とか、カーニバル:冬を追い払う、死みたいなものを追い払う行事!追儺。
(ここでおもしろいのは、追儺の行事は8/17ごろと年末に行っていたということ。お盆!)
生者も死者のうらがえしで、世界が裏返ってつながってる関係。
メビウスの輪とか、無限大のマークみたいな
だからキャプションにも無理をいってお願いして、絵の内容の図解をタイトルにしてもらいました。
でもうーん写真撮り忘れちゃったから分かりづらいな…説明できん…
「bonodori」という言葉を円形に、真ん中を地にして並べて、最初のoを8にすると
ちょうど時計のようでもあるし向かい合った文字が鏡の関係になって8は無限大になる。というかんじ。
そしてなんで「8人」かというと、裏のほうから死者が生者の盆踊りに8人だけまぎれこんでいるのです。
探すとおんなじ人が8人だけ見つかるはず!(あともちろんぎんちゃんもいるよ)
8人、は∞からその数にしたのだけど、ノアの箱船にのった人間の数だったり
古代日本では聖数なのに西洋では不吉な数ってとこがなんかふさわしいかなとあとで思いました。
—–
だいぶ長くなっちゃったけれど、絵かくこと調べてるうちに個人的にすごい発見というかしっくりきたことがあって、
それが仮面とマレビトの関係とか、そのへんのこと。
クロイゼについてはただ見た目的に、頭の上に世界がある無常感というか、
頭山みたいな繰り返し感が気になっていてかきたかったのだけれど
これが年末行事で現れる「マレビト」の一種と思ったら全部つながってびっくりしたという話。
マレビトというのは折口信夫が名付けたもので、時を定めて「ほかの世界」から来訪する、見知らぬもののことです。
現実とは異なる「異界」からやってくるもの。不思議な力を持ってたり、ワザワイをもたらすこともある。
で、まつりの夜、仮面をつけることで、外部からやってくる神に扮することができる。
その異界っていうのはすぐとなりに接してるのに見えないところ、昔は山だったけれど
つまりレンチキュラーシートの向こう側みたいな世界で、クロイゼや「あの人たち」、
私がずっとかいてきているのもそういう人たちなんだなーと思ったのです。
あーだから仮面かぶってるのか!って納得したりとか。
日常と接してる見えない世界から来た人たち、山がレンチキュラーシートのネオンサインの街になってはいるけれど
そういうのがずっと求めて描いてきたもので、
もしかすると私はマレビトを待ち望んでいたり、自分自身がマレビトっていう意識も時々あって
境界があいまいな青い時間や盆踊り、クロイゼ、あの人たちに引っ張られてきたんじゃないかな
で、レンチキュラーの向こうから連れてくるためにはやっぱり仮面による呪的な役割が必要だったのかなと。
全部マレビトってことば1つでわーっとつながって、すごく感動したのだけどこれまた説明するとなるとむずかしいな
—–
私の新作はそんなかんじで、だからちょっと祭壇みたいな、あとお祭りの屋台みたいなかんじを意識して
真ん中にご神体の鏡をかけました。
顔をうつすと、テントのお面をかぶった自分といっしょに作品がとれる鏡。
ブースでは野嶋奈央子さん、深谷桃子さん、吉本彩子さんと一緒の展示でした。
みんなそれぞれかわいくて、でもかわいすぎなくて女の人らしいわがままさとか芯の強さが見える作品ばかりで
おもしろかった〜
それからお礼が最後になってしまったけれど
ご来場いただいた方々、ほんとにありがとうございました!
久しぶりにお会いする方がたくさんで、私は本当にとてもとてもうれしかったです。
覚えててくださってありがとうー!って毎回ぎゅっと感動しちゃう。
みみずくさんたち、恋人みたいだなって思うけれど遠距離恋愛の恋人と違うのは
約束もなんにもなくて、いつでもなくなってしまう関係なのに
絵をかいてることでああまた会えたうれしいなって思うことができて、それはもろいけどすごいことだな
そして私が遅刻してお会い出来なかった方々ごめんなさい。
また会いましょう!