谷山浩子さんの20年ぶりの長編小説「Amazonで変なもの売ってる」の装画を描きました。
「Amazonで変なもの売ってる」
発売日:2014年8月7日(木)
定価:本体1,600円+税
イースト・プレス
amazonでも売ってます。
もともと私が谷山さんの歌がとても好きで、ずーっと遠い未来のいつかはお仕事したいなー!と思っていたのですが
去年のクリスマスに「プレゼントいらないから谷山浩子さんとお仕事したいな~」というtweetをしたことがきっかけで、この本の絵をかくことになりました。
Twitterでこんなことが起こるなんて、今や奇跡はインターネットの上にちらばっているのかな
谷山さんはホームページもご覧くださっていて、
「いつか何かでぜひご一緒させてください」とお返事がきた夜、うれしくてふとんの中で泣きました。
それから程なくしてイースト・プレスの編集の石井さんからお仕事のご連絡が本当に来て、絵をかかせていただくことになりました。
編集の石井さん、装丁の川名さんとお会いして打ち合わせが始まったのですが、
はじめから川名さんのイメージと私のイメージが全然ずれていなくって
(合わせていただいたのかも知れないけれど本当に自然にまとまっていって)本が出来上がっていきました。
ドアを囲むかんじで人がきて、ってどうですか?って。
表紙に描かれた扉からお話の中へ迷いこんで行くイメージで、表と裏がつながっていて、扉であるとともに鏡のイメージ。
お話の中の登場人物たちが私フィルターでみんな集まってきています。
以下はとても個人的な内容の解釈なのでまだ読んでない方はとばしていただくと良いかもしれないです。
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ミカルはフィルターと呼ばれている効果の正体が、結局本に書かれていることだから成り立っていることだってきっと気づいて、
つまり漫画の主人公が枠の外に飛び出して作者に語りはじめちゃう構造みたいなかんじ。
言葉=フィルターと気づいた時点でミカルは言葉の魔力をあやつれるようになった、と私は思っていて、
なので彼女は魔法使いのイメージでかいています。
一方ハルルの方は言葉の正体に関してはまるっきりよく分からないけれど、
分析ではなくて音として言葉をとらえることに長けていて、
つまり箱に入っている言葉の構造を分析して箱を作り替えることができるのがミカル。
箱の構造はよく分かんないけど、その構造を崩さないままつかんで、動かすことの出来るのがハルル。
ということは二人を合わせて谷山浩子さんその人になるのかな、っていうことをずっと考えてました。
でもなんだか二人は私と妹にもにてる。
「読むという行為は本来誤読である」って誰だかのことばを分かりやすく例にだしているような本といえるのかな。うーんどうだろ違うかも
あとがきに私の名前が出ていて、またじわっとうれしくてうおーっと山に駆け上って叫びたい高揚と落ち着いた後の静寂の中のゆらゆらしたかんじ。
とにかく、不思議だって思えることがたくさん起こってゆくのだけれど、
全然ふつうのかんじであっけらかんと書かれていて、
その鳥の目の視点は私が絵で心がけていることでもあるし、好きなつくり、
ひとことでまとめれば大好きな本になりました。
自分の絵が入ってるのがへんなかんじ。
川名さんが日本語タイプライターで作ったという文字(タイトルと見出しとか)もほんとに素敵で、
最近kindleを私も買ったけどやっぱり本はほしいよねー!!っていう本です。
装画のはじめてのお仕事がこんなにもすばらしい本で幸せな人だ。
全然関係ないけど最近カスミンを見てて日本語タイプライターでてきたのでタイムリーだなと思いました。
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kindleを買ったのでやっと皆川博子さんの「死の泉」と諸星大二郎さんの「栞と紙魚子」シリーズを読み、
両方すばらしく好みだったので浮き世にかえってこれないかんじになった。
あと谷山さん、CDのお仕事もその後させていただいて、また記事かきます。