森絵都さんの小説『カザアナ』(朝日新聞出版)装画を描きました。
装幀は田中久子さんです。
『カザアナ』
森 絵都
ISBN:9784022516145
定価:1870円(税込)
発売日:2019年7月5日
四六判上製 384ページ
今回の展示および共作にあたって何案か関心事をあげた中から、〈夢〉をふたりの共通項とすることにしました。わたしは何年もずっと見た夢のメモをとっているので、そのメモを軸にそのほかの日常のメモや日記のたぐいを組み合わせて絵にしていくことにしました。
まず夢のそとでは外部が自分のなかに満ちており自分は受信するだけのアンテナとして機能しているのが、夢のなかではそれらの組み替えが可能になる。記憶の中で、においや手ざわりや音が視覚情報から切り離されてしまって、そうしたイメージの断片が、モニター越しの画像や文字から想起した映像などと区別がつかなくなる。それはそのこと自体がバラバラに書き散らされたメモに似ている。
現実と地続きだが同時には見られないレンチキュラーシートのような関係性、つまり山だ!やはりあちら側に行くには山が必要だな、と思い共作では山をかくことにしました。山を越えるとバラバラメモの世界。あとわたしは昔読んだ本にあった、夢をみるのが壺中天(壺の中に入ると桃源郷があったという話)のようなものだという文をずっと鮮明に覚えていて夢のイメージが壺でもあるので、壺も多くかいています。
そしてタイトル「spell」について。
大山さんはこの英単語を〈綴る/つなぎ合わせる/文字が語を形づくる/魅了する/呪文/まじない/魔法/魅力〉このうちどの意味でテーマとしているのですか、というような質問をされた時うまく答えられなくて「夢とその他のメモをもとにしているので〈綴る〉がメインです」というようなことを言っていたのですが、こういう具合にことばを書いたり、そのことばを組み合わせたり組み替えたりしていくことで世界のあり方がかわる呪的な力を持ちうるというのが一見「綴る」から離れて見える「呪文」や「まじない」という意味でのspellだと思っているので、羅列された訳のすべてがテーマというか制作過程そのものなのではないか、と、このタイトルを付けました。
形そのものに指し示すもののある漢字と比べてアルファベットそれ自体にはそれほど意味がない、だからグラデーション的に意味の拡がりをもつような気がしている。
綴ることによってまず意味されるところのものが別の形に変化するというのはたしかに魔法だし、アルファベットの形になった単語が組み合わされていくさまは、情報が等価になってコラージュのように組み合わされる夢と相似の関係なのだ。
谷川千佳・大山美鈴
「spell」
4/6 (土) – 4/27 (土) 2019
時間:火〜土 12:00-19:00
定休:日・月
場所:MASATAKA COMTEMPORARY
東京都中央区日本橋3-2-9 三晶ビルB1F (map)
Reception Party:4/6 17:00-19:00
記憶のなかで、においや手ざわりや音が視覚情報から切り離されてしまって、漂うイメージの断片は、モニターに流れてきた画像や文字から想起した映像と区別がつかなくなる。書き散らされ箱にしまわれたメモのように。
夢のなかでは、そのバラバラのメモ用紙をつなげるようにけしきがつくられる。
わたしにはなんでもかんでもメモをとるくせがある、記憶はノートや紙片やモニター上に文字の形で綴られることによって自分の記憶として保管される。そのさまざまなメモをつなぎあわせてお話をつくり絵に置き換えるということをしているのですが、今回はみた夢のメモを軸にいくつかのけしきをつくることにしました。
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谷川千佳さん(http://chikatanikawa.com/)と二人展をします。
現実の記憶として鮮明に思い出せるような夢の景色と、夢とさかいめのあいまいな現実の景色をつなぎ、より合わせてかきました。
今回半立体などの仕掛けのものは作っていないのですが、DMに使用した「spell」は谷川さんと共作をしました。それぞれ景色をかいたあとに交換して、相手の絵の上に絵をかくというかたちです。緊張した…!
でも手元にずっと残してながめていたいようなお気に入りの絵になったので、ぜひご覧いただければとおもいます。
ほかの絵もそれぞれお話があってとても好きなのですがまだまとまらないのでいずれ書きます。
準備期間は短かったのだけれど、ほとんどすべて今回のためにあたらしくかいた作品です。
そしてまんなかで二つ折りにすることのできる素敵なDMは高倉大輔さん(https://www.casane.jp/)にデザインをお願いしました。
くるくるとまわりつづけるイメージのロゴデザインも高倉さん作です。
わたしは毎週土曜日には在廊予定です。どうぞよろしくお願いいたします。
『好きをカタチに 個性が光るイラストレーターズファイル』(発売元:パイ インターナショナル)に掲載いただきました。
『好きをカタチに 個性が光るイラストレーターズファイル』
編著:パイ インターナショナル
Format:B5判変型
Size:255×190mm
Pages:224Pages(Full Color)
Binding:ソフトカバー
ISBN:978-4-7562-5020-9 C3070
発売元 パイ インターナショナル
定価 (本体3,600円+税)
パイ インターナショナルの新刊案内でもわたしのページをご紹介いただいています。
お手にとってご覧いただければ幸いです。
大山美鈴のLINEスタンプ「伝説のあのこたち」が発売になりました。
伝説のいきもの(ばく、ぬえ、管狐、猫又、雷獣、九尾、人虎、かまいたち、くだん、獅子とこまいぬ<あ・うん>、りゅう、月のうさぎ、やたがらす)のスタンプです。
りゅうにはわたしとぎんちゃんがこっそり乗っています。
こちらからお買い求めください。
https://store.line.me/stickershop/product/3699670/ja
インフルエンザにかかってしばらく寝込んでいたのですが、
ベッドのなかでスケッチをしたので記念にのこしておくことにしました。
37.7℃の高くも低くもないような熱は今朝やっと下がりました。良かった。
あけましておめでとうございます。
2017年は、依頼してくださったひとりのために絵をかく、ということが何度かあって、おうちで誰かのためにつくられる日常的だけれど特別なごはんや、あるいは大勢のだれかに対してではなくて少人数とのあいだにあるきらきらしたことばについてよく考えていました。
名前のわからない誰かと話をしようとするとき、ことばは乱反射して鏡のなかで往復し像がつらなる。
鏡像との往復は虚空に対峙するようだ、と思ったけれどたぶん往復のあいだに何かしら特別な、光とか収差のかがやきのようなものが生まれているのだ。
対特定のだれか、と、対大勢、もさまざまで、そのあいだにもありとあらゆることばが存在していて、それは言語でも絵でもまだわからないことだらけなので、引き続き考えたり耳を澄ませたり目をこらして書いたり描いたりしていきたいなと思っています。
みみずくさん、友だち、恋人、家族、ぎんちゃん、新しく出会ったひとたちやものごと。
昨年もまたほんとうにお世話になりました。いつもどうもありがとう。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。
2018年がみなさまにとって、素晴らしく特別な一年になりますように!
大山美鈴
グループ展に参加します。
LUCK021 「oocami drawings」
会場:LUCK(earth+GALLERY内ギャラリー)
住所:〒135-0042江東区木場3-18-17
TEL:03-3630-1655
http://earth-plus.net/?page_id=701
会期:2017年 10月7日(土)~ 10月22日(日)
11:00~19:00 ※月曜日休廊
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デザインユニットoocami DRAWINGS(オオカミドローイングス)の10周年記念展示です。
わたしはおおかみくんのさんぽをかいた絵を何点かと、おおかみくんパペットを展示します。